社会運動における結果主義の問題

日本の社会運動における3つの傾向 結果主義とは何か 「女性が闘わないから女性差別がなくならない」? 結果主義は現状肯定のための主張である 業績が欲しい運動家たち 属人主義と結びついた結果主義はハラスメントや暴力を看過する 結果主義はサバイバーの葛…

一橋大学で差別禁止ルールの制定を求めた有志は反トランス本の出版中止要求を擁護せよ

KADOKAWAで出版企画が頓挫したアビゲイル・シュライアー著『あの子もトランスジェンダーになった』(邦題)が産経新聞出版から刊行されるという。 www.sankei.com トランス差別に加担する「左翼」たちが産経に「ありがとう!」とお礼を言っているらしい。 この…

震災後の障害をめぐる言説について

#障害者を消さない というハッシュタグ #能登の障害者に届け プロジェクト 「反優生思想」一辺倒の社会運動 「ともにある」ために 1月1日以降、能登半島地震の被害状況を毎日追っていた。発生当初から政府の初動対応の拙速さや被災者への対応の劣悪さについ…

「活動家ガー」という時の「活動家」とはいかなる存在を指しているのか

他者化の動員としての「活動家」 労働倫理の形成 労働倫理から逸脱する「活動家」 シスジェンダーはなぜ「特権」を否定するのか 労働倫理とジェンダー規範 他者化の動員としての「活動家」 日本のジャーナリストは本当に腐敗がすさまじいと思う。 私は原書を…

搾取に反対することは生きることに反対することだ

「ケアしケアされ生きて」いかなければならないという不当さ 搾取を自覚することで初めて対等な関係が築かれる イスラエル-パレスチナと自己陶酔的な他者否認の思考 エンパワリングと自己陶酔 「ケアしケアされ生きて」いかなければならないという不当さ 『…

「彼女は被害者なのだから」 "ハーパシー"の論理

加害者女性への共感 概念として扱われなかった”ハーパシー” 「被害者中心主義」という問題 被害者中心主義とハーパシー 加害者女性への共感 次の記事が話題になっている。 mainichi.jp この記事の反応で次のようなものがあった。 この記事読むと確かに「京ア…

気遣いという労働 「性搾取」という言葉の不思議

気遣いという労働 マイクロアグレッションの裏にある労働の搾取 「依存先を増やす」という搾取 「社会なんてなくなれ」というフェミニストの欺瞞 「性搾取」という言葉の不思議 気遣いという労働 賃労働をしていて気がついたことがある。 もちろん気分や疲労…

『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション』がマイクロアグレッションをしている件について① ―能力主義編―

まえがき(2023年9月) マイクロアグレッションとは 問題の所在 能力主義信仰 健常者中心主義=能力主義の称揚 社会運動と能力主義 次回 まえがき(2023年9月) 実をいうと、この記事は2年前に書いたものである。いい加減出さないといけないと思いつつ、気が…

#そごう・西武労組のストライキに連帯します

昨年より、百貨店のそごう・西武の売却をめぐり労使対立が続いていました。 jp.reuters.com このほど、セブン&アイ・ホールディングスが百貨店のそごう・西武を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに9月1日付で売却する方針を固め…

無責任な左翼たち

お前が働け 無責任な左翼たち 「ジェネレーション・レフト」論の問題 お前が働け 少し前に話題になった記事がある。 toyokeizai.net *1 資本主義を理解するためにあえて労働環境の劣悪な会社で働けとのことらしい。お前が働け。 いつでも辞められる余裕があ…

【まとめ】国連特別報告者のトランスヘイトに対する世界各地の抗議

国連がトランス差別にお墨付きを与えたとしてヘイターたちが盛り上がっている。 「女性と女児が、脅迫や恐怖を感じることなく、性別、ジェンダー、性自認について発言できるようにする」https://t.co/epgudTxpdV以下、国連特別報告者のReem Alsalem氏が2023…

「彼は大事な人だから」 ヒムパシーの論理

繰り返される性差別 「ヒムパシー」の論理 「彼は大事な人だから」 「よきこと」におけるヒムパシー つい最近、斎藤大先生がトンデモ本の推薦文を書いたとして話題となった。 斎藤幸平さん、なんてことをしてくれたんだ。。こんな明らかなトンデモ本に帯文を…

書評:『学ぶことは、とびこえること』

先頃、ベル・フックスの著作がちくま学芸文庫で刊行されました。 学ぶことは、とびこえること ――自由のためのフェミニズム教育 (ちくま学芸文庫 フ-50-1) 作者:ベル・フックス 筑摩書房 Amazon 元々は2006年に『とびこえよ、その囲いを (副題:自由の実践と…

大は小を兼ねない 怠惰な左翼の狡猾さを批判する

”「あらゆる差別に反対している」からトランス差別にも反対している” トランス・ミソジニー マジョリティの傲慢 フェミニンな要素を肯定する 「よきこと」は第三者の存在を必要とする。 たとえ二者間で起こったハラスメントであっても、その加害は第三者の存…

セックスワーカー差別への抗議行動を支持します

フラワーデモへのカウンター行動 セックスワーカー差別への抗議行動 差別扇動に加担する学術関係者 カウンターという希望 フラワーデモへのカウンター行動 本日3月8日(水)20時から新宿にて、フラワーデモによるスタンディングに対するカウンター行動が予定さ…

臨床哲学ニューズレター第5号にコメントが掲載されました

臨床哲学ニューズレター第5号にコメントが掲載されました。 clphhandai.blogspot.com 昨年参加したこちらのシンポジウムの感想文です。 第7回臨床哲学フォーラム「研究者になるということ:研究者と当事者のあいだで」を開催します。日時:2022年6月1日(水…

書評『フェミニスト・シティ』

レスリー・カーン『フェミニスト・シティ』はインターセクショナリティ概念を軸に都市・地理学の問い直しを試みた作品である。 フェミニスト・シティ 作者:レスリー・カーン 晶文社 Amazon 本書には意識すべき/関心を引くような論点がいくつかあったため、重…

TGJPのハラスメントに抗議します

元々この記事は東京トランスマーチの参加報告として書こうとしていたが、趣旨を変えざるをえなくなった。 先日行われたトランスマーチに知人とともに参加した。これまで参加したデモでは一番長く時間をかけて歩いたと思う。10km以上の距離を行進したのでさ…

美竹公園強制封鎖に対する抗議行動に参加しました

美竹公園強制封鎖 抗議行動① 無視を決め込む公園課 抗議行動② まちづくり三課:行政による挑発と盗撮 抗議行動③ 区長室フロア 抗議行動④ 福祉事務所:「ハウジングファースト」が追い出しの口実に ジェントリフィケーションは家父長制である 美竹公園強制封…

活動家のためのテキスト① レーニン『共産主義内の「左翼主義」小児病』

変革や連帯のためにアクションを起こしたり、組織やグループを結成、運営したりと、何らかのかたちで社会運動に関わる人が読まなくてはならないテキストは無数にある。 そのなかから、私(わたし)が是非読んでほしいと思うテキストをいくつか紹介したい。 今…

明石市長を免罪するもの

「よきこと」を問題にし続ける私(わたし)が、明石市長の暴言事件についてふれないわけにはいかないだろう。 www.asahi.com 過去のブログで引用したオンライン記事が非公開になっていたことがあったので、メモも兼ねて記事内容を抜粋する。 兵庫県明石市の泉…

家事代行労働者過労死に対する不当判決を考えるにあたって

家事代行労働者の過労死認定を求める裁判の判決が9月29日に行われました。 www.tokyo-np.co.jp 判決は原告の請求棄却という結果に。これは労働基準法が家事労働者への同法の適用を除外していることを明記しており、労災や社会保険の対象からも排除されてしま…

#0904入管闘争全国一斉アクション に参加しました

「9・4全国一斉アクション 入管法改悪反対デモ in 東京」に参加しました。 【9・4全国一斉行動当日!!】全国一斉行動の当日になりました!東京デモはこちらに集合ください。14:45 集合@上野恩賜公園 野外ステージ近くの入口(池之端一丁目交差点の付近で…

告発の受け止め方は地震のようなものである

昨日の記事で、フェミニストは起きてしまったことに対して態度を表明するため、告発に対するフェミニストの態度は必然的に後手にまわると書いた。 zineyokikoto.hatenablog.com このことを少し掘り下げて考えようとした時、ふと告発の受け止め方とは地震のよ…

告発を準備する者にとって最も助けとなる思想家は誰か

TwitterにTwitterサークルという機能が実装されたそうです。 help.twitter.com この機能が実装されてまず思ったことは、何かを告発するためにこの機能を使う人が現れるかもしれない、ということでした。 #Metoo 運動の成果もあって、告発というと性暴力に関…

#ありえないデモ0716 に参加しました

#ありえないデモ0716 「七夕はいらない」 より多くの人に声を届けるために 国家権力との対峙 デモ後の出会い 「声なきものたち」などいない #ありえないデモ0716 やっと参加できました。 #ありえないデモ0716 昨年11月末、本人が性別変更を望む際、「未成年…

来るべき左翼の未来に向けて

マッテオッティ議員の暗殺 小ブルジョワ学者を弾劾する 哀悼されるべき生とされない生 可視性の政治学 「民主主義の根幹たる選挙」という欺瞞 民主主義とは直接行動である マッテオッティ議員の暗殺 1924年6月、統一社会党書記長を務めていたジャコモ・マッ…

セックスワーカー差別集会への抗議行動2022 に参加しました

新宿東口広場のカオス #ラブホで死にたくない のメンバーとニアミス 情動による扇動と動員 「挑発に乗らないで」という連呼 「当事者性の過剰」の危険性 女はポルノを観る 5月22日、新宿で行われた「セックスワーカー差別集会への抗議行動2022」に参加しまし…

恐怖の治療法

酒井隆史『暴力の哲学』を読んで知りましたが、昨日2022年4月29日でロサンゼルス暴動(ロス暴動)が起きてからちょうど30年だそうです。 暴力の哲学 (河出文庫) 作者:酒井 隆史 河出書房新社 Amazon 1991年にロドニー・キングという当時25歳の黒人青年がロス…

「不誠実かつ未熟」な書評家と「ケア」

昨年、朝日新聞に掲載された桜庭一樹著『少女を埋める』の書評に対して、著者自身が抗議したことが話題となった。 この記事でご紹介いただいたのですが、わたしの原稿に〝介護中の虐待〟は書かれておらず、またそのような事実もありません。わたしの書き方が…