セックスワーカー差別への抗議行動を支持します

 

フラワーデモへのカウンター行動

本日3月8日(水)20時から新宿にて、フラワーデモによるスタンディングに対するカウンター行動が予定されています。

 

 

今回の行動は、直前に出されたフラワーデモのステートメントが発端となっていると思います。

 

 

この文書の問題は既に多くの人が指摘しているのでここでは詳述しません。ただ、元々は性暴力被害者に寄り添い性暴力への抗議をするために始まったフラワーデモが、「性を搾取するな」という合言葉の下に特定の属性や職業従事者、性暴力被害者を、それも国際女性デーに排除すると宣言したことは残念でなりません。

 

筆者はフラワーデモによるステートメントに抗議し、フラワーデモへのカウンターとして行われるセックスワーカー差別への抗議行動を支持します。

 

セックスワーカー差別への抗議行動

セックスワーカー差別への抗議行動はこれまで何度も実施されてきました。

 

zineyokikoto.hatenablog.com

 

zineyokikoto.hatenablog.com

 

本当は今日の行動にも参加したかったのですが、今回は現地への参加が難しいためブログにて連帯の表明をすることにしました。

 

以前の記事でも書いてきたことですが、一連の抗議行動はトランスジェンダーセックスワーカーをはじめとする人々への差別に反対するため、有志が集まって企画、実行されているものです。行動を実行に移す人たちは適切なタイミングで然るべき言葉を紡ぎ、その言葉が必要な人々にメッセージを届けてきましたし、今も届けようとしています。だからわたしは抗議行動の参加者を信頼しています。カウンター行動に参加される方も、行動に連帯を表明される方も、これまで差別に抗議するための行動が続けられてきたことを忘れないでほしいし、今回の行動も記憶にとどめてほしいと思います。

 

(以下の節では、フラワーデモのステートメントが出される前段としてトランス差別に関する事項をまとめています。セックスワーカー差別への抗議行動支持の部分だけ読みたい方はここでブラウザバックしてください。)

 

 

 

差別扇動に加担する学術関係者

 

さて、フラワーデモがセックスワークへの差別を明確に打ち出し、トランスジェンダーへの差別にもいよいよ公に加担することになってしまいました。ただ、これは突然変質した、というわけではなく、周到に計画され実行されてきたものです。その過程で差別扇動家は多くの著名人からの支持を獲得してきました。

 

今年に入ってから、トランスジェンダーを「女性の安全を脅かす存在」として悪魔化し不安を煽るような報道やヘイトスピーチがより顕著になってきました。某市議会議員が埼玉県の条例に反対してそれを「フェミニスト」研究者が支持したり、トランスジェンダーに対する差別的言動を行ったある女優がそれを撤回・謝罪するとその言動を擁護するような動きが広がったりしたことは記憶に新しいと思います。

 

このような動きに呼応する学術関係者や著名人を数名確認しました。メモとしてTwitterの「いいね!」機能を使用している、という次元ではなく、「#加賀ななえ市議を支持します」といった差別的ハッシュタグのツイートを積極的にリツイート、シェアしています。この状況はかなり深刻だと感じたので、ここで差別扇動に加担する著名人をまとめることにしました。

 

トランス差別に反対する著名人よりも、差別に加担する著名人を書き連ねる方が楽である状況はとても不当だと思います。前者を列挙する方が連帯の萌芽が生まれる可能性は高いですし、このような不当な状況に対するカウンターにもなるだろうとは考えます。しかし、日々差別扇動が苛烈さを増すなかで、差別に加担する人々の力を増幅させないため、自らの安全性を確保するために後者をまとめることは一定程度意味のあることではないかとも考えました。

 

既にトランス差別の扇動家として名を馳せているところとしては、森田成也、木下ちがや、牟田和恵、千田有紀堀茂樹、安里長従らが挙げられるでしょう。この人たち以外に、上記のハッシュタグやそれに関連する「犬笛」に呼応していることが確認できた人を(以前からトランス差別に加担していることを筆者が知っている人も含めて)名前、主要著作名の順で列挙します(画像は掲載しませんがスクショをとったので提示する用意はあります)。

 

・粟津賢太(『記憶と追悼の宗教社会学 : 戦没者祭祀の成立と変容』)

小谷真理(『性差事変―平成のポップ・カルチャーとフェミニズム』、共訳書にダナ・ハラウェイ他『サイボーグ・フェミニズム』)

・柴田優呼(ジャーナリスト、『“ヒロシマナガサキ被爆神話を解体する――隠蔽されてきた日米共犯関係の原点』)

・白岩英樹(『講義 アメリカの思想と文学:分断を乗り越える「声」を聴く』)

白井聡(『未完のレーニン <力>の思想を読む』)

・杉山春(ルポライター、『ネグレクト〔小学館文庫〕: 真奈ちゃんはなぜ死んだか』)

・住友陽文(『皇国日本のデモクラシー 個人創造の思想史』)

中尾知代(『戦争トラウマ記憶のオーラルヒストリー―第二次大戦連合軍元捕虜とその家族』)

・長澤唯史(『70年代ロックとアメリカの風景―音楽で闘うということ』)

・西見奈子(『いかにして日本の精神分析は始まったか——草創期の5人の男と患者たち』)

 

他にルポライター安田峰俊さんも関連ツイートに呼応しているようですが、元々右派系の方で遊び半分にチェックしているとも考えられるので真意はわかりません(それでもひどいと思いますが)。また、アナーキスト千坂恭二氏は今回の扇動とは関係なしに以前から森田成也によるトランス差別が書かれたFacebook投稿へ賛同することなどを繰り返していますが、なぜかあまり話題に上らないのと、こちらもどこまで本気なのかわからないのでここで言及するにとどめます(小谷さんもそうなのですが、差別を正当化するために左翼っぽい言辞を使えば面白がって反応する「左派」が一定数いることは注意しておいてよいかと思います)。

 

カウンターという希望

 

自分が観測できた範囲で重要だと思った人をまとめてみましたが、これを確認するだけでもトランス排除(やセックスワーカー差別)が広がっていることがわかります。正直、SNSをやるのも嫌ですが、大事な局面では自分にできることを引き受けざるを得ない状況もあります。

 

一方で、あえて自分にできることを引き受けない、というより「引き受けない」ことをもって引き受ける、という行動もあるでしょう。それは個人の選択なので尊重されるべきものですし、一つの立派な抵抗のあり方です。しかしながら、引き受けない覚悟をしたはいいものの、引き受けた人の言動を「言わされているなあ」「自分と意見が合わない人を追ってSNS中毒になっているなあ」とジャッジする人がいるかもしれません。

 

そのジャッジはやめてほしいです。なぜなら、問われるべきは引き受ける選択をしたか、しないか、ということではなく、そもそもそのように引き受けざるを得ない状況の不当さの方だと思うからです。

 

その不当さを跳ね返すだけのポテンシャルが今日の抗議行動にはあると思います。フラワーデモの方も、大本の運営は腐敗しているかもしれませんが、各地のフラワーデモは違います。各人には各人の抵抗の仕方があるはずです。それぞれの選択をジャッジせず尊重することこそ、フラワーデモの原点だったのではないでしょうか。